出逢いがあり、物語が動き出す。

気分を着替えることで、違うものが見えてくる。

 今年のGWは続いていた行動制限もほどけ、会いたくても会えずにいた方々との久しぶりの再会を楽しまれた方もいたのではないかと感じています。
 その一方では、旅の準備等すべて整っていたのに、当日にちょっとアクシデントがあり、楽しみがオジャンになった話もチラホラと聞いたりしています。
 
 ほぼ30年前のGWのこどもの日、5月5日、ある撮影に失敗したために郊外の公園で再撮( 撮影物の出来が良くなくて撮影を再度すること )をしていた時の心の動きの話をします。
 撮影物の色の具合に不満があり、スタッフもモデルさんもすべて前回の同じメンバーでしたから、緊張感もなくすんなりと撮影は終了しました。
 
 天候も良く、周りに目がいく余裕も出たのでしょう。その時、人生で初めて5月の新緑の美しさに気がついた次第です。その当時は、会社のスタッフも14〜5人いて、毎日が怒涛の忙しさだったんですね。そんな忙しさの中、気分が解放されたのか、アクセクと飛び回っている毎日とは異次元の新緑に目を奪われました。葉が生まれてからほぼ一ヶ月後の美しさに惚れたとも言えそうです。心が洗われる気分ですね。なにせ、その当時は二日酔いの毎日でしたから。

一点に集中すると、いろんなものの感じが変わってくる。

 その時を契機にして、桜の花が散る4月4日( その当時の関東での平均値が4/4日頃だったのです)から、5月5日のこどもの日までの一ヶ月間、毎年、好みの葉を決めて観察をしています。ある時季なんかビルの3階の事務所の窓から目の前1メートルに葉を観察することもできました。1日で5ミリから10ミリくらいの成長が見られます。ちょっと目を離した隙にこんなにも・・・の感じです。
 5月5日に、ほぼ全体の緑は出揃い、次の一ヶ月、6月6日で緑の濃さが揃ってきます。30日で舞台は変わる!!という自分なりの理論のようなものを持ってまして、3秒・3分・3時間・30日・3年・30年といろんな動きを、この数式に当てはめるクセがついてしまったようです。

見方をちょっと変える。世界がガラリと変わる。

 最近の話ですが、3秒の中にこそ、人のドラマは隠されているのでは?と感じ、簡単に言えば「瞬きの間」にこそ、いろんなドラマがありそうだと思い始めました。自分なりのコーナータイトルを「微熱のある風景」と決め、真面目に女性の瞬きを絵にしてみています。30点描いたあたりで、気分が落ち着く方向性が見えてきて、60点あたりで ( 5/10の今現在で、59点仕上がっています)機嫌のいい仕上がりが見えてきそうな感じです。
 
 30年前に、日一日と葉が大きくなる自然の営みに接してからは、つい見過ごしてしまいそうな風景にも、裏ではすごいドラマが動いているのだな〜と、感じ始めました。
 ちょっとしたなんてこともない出逢いにも、見方を変えれば、心が動く何かがあるということで、「瞬間の裏側」を楽しんでいます。

 それにしても、歳のせいなのか集中力が30分と持ちません。歳をとると、感じ方が子供に帰ると言いますが、あの子供の頃の宝石箱をぶちまけたような奔放な想像力が戻ってくれば、面白そうですね。

<校友会 SO-ZO-NE 会長 村中 凱>