深める。拡げる。結びつける。置きかえる。

デザインは問題を見つけ、課題を解決する仕事です。

 卒業制作も追い込みの時期になりました。後期の授業が始まってから本格的に制作態勢に入りましたが、「つくることを教える」って大変ですね。2年間( 3年制もありますが、私の担当しているのは2年制のグラフィック科です)の総仕上げとして自分のやりたいものをつくろうよということで、学生さんを見渡すとグラフィック畑(大別すると、グラフィック系と広告系の2種類に分けて、モノを処理しています)からは32頁くらいの本を出版してみようとしているのが半数で、あとは商品企画やこんなものがあれば面白いなーという雑貨類をつくっている人もいます。

 それが出来ると、次はそれを告知するためのポスター制作です。そこに出てくるキービジュワード ( キービジュアル+ワード )は、他の媒体にも転用できるようにと指導しています。( 広告物のコアになる部分だよねーと、いうことです)

  前期から教えていれば、企画・具現・展開と一応の流れを理解してもらった上で、どう語りかければ、生活者は納得・共感するんだろうとアイデアや切り口を探せるのですが後期からのため、きめ細やかさに粗が出る部分もありそうです。

まず切り口を見つけ、WHY?・HOW?・WHAT?と頭を動かせます。

  37人の学生さんを相手に、「オレがこの本を( 学生さんは様々なモノをつくっていますから、37種のあるモノが出来上がり中です)告知するにはこんなポスターをつくると、2~3点連作のアイデアを出しながら制作しています。

  例えば、この本は何を生活者に届けてくれる?と、機能的便益を訴えるものからこの本を手にすることでどんな情緒的便益があるんだろうと、切り口は幅広くあるはずです。その切り口を見せながら「こんな切り口もあるのか~」と、自分のアイデアを拡張してもらっています。

  11月中旬からは、石井 活先生と二人体制になりました。学生さんが伝えたいメッセージを組み立て、それを村中がアプローチするとこんなになると、サムネイルを見せ、石井先生がAIを使いアプローチするとこんな絵をつくるな~と、幅広く表現方法を試してみています。

思考するクセをつけて、考えることを楽しんでほしい。

  生成AIについての感想ですが、デザインのアシスタントとして使うには便利なツールですが、そのままでは使えそうにありません。

  ヒトの「見立て」があり、それをカタチにした時のひとつの例として、こんな表現もあるねーの参考にするには短時間で「見える化」の手伝いをしてくれる訳ですから使ってみるのもいい策かもしれません。

  さて12月16日は卒業制作2回目の中間審査日です。この日を目処におおよその仕上がりまで持っていき、1月いっぱいで、どこに出しても恥ずかしくないような仕上がりに、漕ぎ着ける予定です。

  「失敗したことのない人間というのは、挑戦をしたことのない人間である。」と、アインシュタインは言っています。学生さんも思いっきり挑戦してくれればいいですね。思考するクセは学生時代ならば簡単につくはずですから。それがいつか習慣になればシメたものです。


<校友会 SO-ZO-NE 会長 村中 凱>