何をしたかではなく、何のためにそれをしたのか。

目標に向かっている姿は美しい。

 2024パリ オリンピックが7/26~8/11のスケジュールで開催中です。8/28~9/8にかけてはパラリンピックが開催されます。パリでの日本選手団の活躍はテレビ等でも、みなさんご存知のとおりですが、私が少しお手伝いさせていただいた1998年2/7~2/22の長野冬季オリンピック、3/5~3/14のパラリンピックの話をしてみようと思います。

 1998年といえば、私とすれば理想形と思われるデザイン事務所を経営していました。総勢18人くらいはスタッフはいたと思うのですが、私も若かったものですからナマイキの盛りでした。丁度その時、パラリンピックの選手たちは資金的に苦しいという話を聞きました。

  知り合いがプロデューサーの久石  譲さん( 長野冬季パラリンピックの総合演出が久石さんでした )のところに出入りしていまして、そんな話を聞いてきた次第です。ならば、カレンダーをつくり、全国のみなさんに購入してもらえば1億円くらいは集まるんじゃないかと、面白がり屋の村中は思ったわけです。

充実感を感じるのは、目標に向かっているとき。

 世の中は、企画→具現→展開でほとんどのことは動いていると確信していますし、企画だいすき、怖いものなしの私はついその気になりました。

  スポーツ選手、文化人と言われている方々から絵を提供してもらい、一週間で一枚のA3版52枚くらいのカレンダーを企画しました。結果的には24枚しか絵の提供が受けられず、15日間で1枚、計24枚カレンダーにはなりましたが、その案件をスタートさせました

 どこで印刷して、どこが管理して、どこが配送するのかをゼロからの出発ですから、それはもう大変でした。事務所のスタッフは通常の仕事をやっているわけですから、これを企てた仲間たちが主体になって手弁当で動く仕組みです。  

 北野たけしさん 有森裕子さん 椎名  誠さん 片岡鶴太郎さん 樹木希林さん 本木雅弘さん 石井竜也さん 奥田瑛二さん、西田ひかるさん、みなさん快く絵を提供してくださいました。

目的の共有が、到達点に近づくためには必要。

 さて、絵が集まりデザインを施して印刷はしたものの、どうしてこのことを全国に知らせていくのかが又、やっかいです。広告代理店など数社とは仕事の関係はあるものの、どこも儲からない仕事は引き受けてくれません。  

 その当時、安藤優子さん( 安藤さんには絵も描いてもらいましたが )がフジテレビでニュースキャスターをやってましたから、その番組で告知してもらったり、有働由美子さんがNHKのキャスターでしたので番組で取り上げてもらったり、この日本デザイナー学院にもまとめて20冊くらい購入していただいた憶えもあります。たくさんの仲間に助けていただきました。

 デザインとか、クリエイティブのイロハは充分すぎるくらいわかっている頃ですが、モノを全国のみなさんに購入していただくのは、シロウトですから、ましてや予算もない・・・。

 先月号のメルマガに書きましたが、どうにかこの企画が予定通りに進んだのも、すべてその当時の先輩・後輩・友人の手助けがあったからに他なりません。目的・目標に向かって突き進んでいく楽しさを覚えたのも、丁度、この経験があった頃からだよナーと感じています。 

 何をやるにせよ、目的を共有でき、楽しんでみようという仲間がいることは、面白がる人生には、はずみを与えてくれそうです。

<校友会 SO-ZO-NE 会長 村中 凱>