問題解決に向かい頭を動かす。面白い時間です。

問題はどこにあるのか?を、まずは見つけたい。

 10月が始まりました。卒業制作に本腰を入れて取りかかる時季になりました。6月の末頃より、卒業制作にテコ入れのため過去の経験を活かし、学生さんの制作指導をしてくれないかと依頼を受け、2020年から引退をしていました卒制のお手伝いをすることになりました。

 2020年2月の卒業制作の審査を最後に3年間ばかり、授業はしておりませんでしたが、21、22、23年の卒業審査にだけは立会い、卒業生の作品を見せてもらってはいた次第です。21年2月の審査では、自分の教えていない学生さんの作品も新鮮な目で見ることはできてはいたんですが、変な違和感を感じていました。

 学生さんが、言い方は悪いのですが、「デザインごっこ」をしている感じが否めないんですね。そして、23年の2月、3回目の審査に立ちあわせていただき、自分なりの結論を見つけることができました。

その語りかけで、相手は納得するのか?で、共感が生まれる。

 ブランディングをやりたいとか、コンセプトはこうで、ターゲットはF1、F2層でとか一応みなさん、解説らしきものはしてくれるんですが、表側のデザイン話で、中身が感じられない。「デザインは問題解決業です。解決の目的はこうで、課題はこれで、私はこう語りかけます。いかがですか?」と結論を堂々と言わないんですよね。学生の頃は、私はもっと酷かったもんですが、今の学生さんは、どこかこぢんまりとしています。

 現場で教えていれば、A君は企画は面白かったんだけど、具現が中途半端になったなーとか、Bさんは企画はそうでもなかったけど、具現の表現部分でうまく見た目を装飾し、どうにか目的にたどり着いたな・・・」とか、個々に目的に向かって悪戦苦闘した跡が見えていました。

 それが、どうも感じられない。何のためにそんなことをしているんですか?という目的が、はっきりと見えてこない。何となく絵があり、キャッチコピーみたいなものがあり、なんとなくレイアウトされている。

 先生方も一生懸命に教えていらっしゃる。学生さんも四苦八苦しながら仕上げてはいる。何故?こんなことになるの?と不思議でした。

その課題で、相手は得を感じるのか?を問い直したい。

 7、8、9月と計4回、8限分の授業で学生さんが卒業制作で何をやりたいのかの方向性を聞き、軌道修正を試みてきました。そして先日、9/14の前期末試験にも立ちあわせていただきました。

 何のためにこれをするのか?の部分で学生さんと先生方のデザインに対する捉え方が一致していない。ちょっと難しい言い方でしたね。簡単に言うと、「デザインするってこういうことだよ」を学生さんがうまく理解していない。先生方も伝えきっていないのではないか?たとえばポスターは、こういう役目なんだからこのところは大切にね。とか、ものの本質部分が、うまく共有されていない。デザインを教えるって難しいんだろうなーと感じました。

 私の手帳にこんなメモをしています。ある大学の先生が、あるところに書いていらしたものです。『テーマやコンセプトが曖昧なままでは制作させません。ギリギリまで思考することの大切さを学んでもらいます。すなわちそれは僕が、努力や作業量の多さが持つ安心感や、やってる感を信用していないからです。大学生活や卒業制作は長い人生のほんの一瞬の出来事です。だからこそ、考えることの大切さを学んでほしいのです』。いい先生ですねー。

 これを肝に銘じて、卒業制作を指導していくつもりです。
卒業生のみなさん、教室に遊びに来てくれませんか。実社会はこんなに面白くて、考えることって大切だよ・・・って、喋りに来てくれませんか。
その後、一杯飲みましょうよ。

<校友会 SO-ZO-NE 会長 村中 凱>